偉人の迷言 vol.1
はじめに
歴史上の偉人は「発言もさぞかし素晴らしい」と思うかもしれません。
しかし、歴史上の偉人は偉業・功績と同じくらい「迷言」も数多く残しています。
そこで今回は、「お札の顔」となっている、三人の人物の迷言を紹介します。
紫式部の迷言
紫式部は『源氏物語』の作者として有名です。しかし、当時、宮廷社会では何か特別な才能を持った女性というのはあまり褒められた対象ではありませんでした。
そこで紫式部は、同僚の嫉妬を避けるため、無知なふりをします。その際、こんな言葉を残しています。
*1 真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院、2021年)
私は『一』という字の横棒すら引いておりません。*1
『源氏物語』を書いておきながら何を言うか、と同僚は思ったことでしょう。
福沢諭吉の迷言
福澤諭吉は『学問のすすめ』の作者です。慶應義塾を創設した人でもあるのですが、彼は毒舌でした。
あるとき、福沢諭吉は尾崎行雄との会話で、「識者に見せるために物を書く」といった尾崎に対し、次のように言いました。
*2 三代史研究会『明治・大正・昭和史 話のたね100』(文藝春秋、2004年)
猿に見せるつもりで書け。おれなどは猿に見せるつもりで書いているが世の中はそれでちょうどいいのだ。*2
まさかの読者を「猿」扱い。衝撃です。
野口英世の迷言
野口英世は現在の千円札のお札の顔で、黄熱病の研究をした人物です。そんな野口英世はお金も頼るつてもなかった頃、一度だけ面識がある人物の家を訪ね、開口一番にこう言いました。
*3 真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院、2021年)
人力車夫に使ってはいただけませんか。*3
ちなみに野口英世は恩師に借りた金を道楽で使い込んだと言う話が残っています。
おわりに
今回は紫式部・福沢諭吉・野口英世の「迷言」を見ていきました。
歴史上の人物はつい偉業や功績に目を向けがちですが、私たちと同じ人間なのだと思わされますね。
参考文献・参考サイト
- 本郷和人
- 『東大教授が教える やばい日本史』(ダイヤモンド社、2018年)
- 真山知幸
- 『偉人名言迷言事典』(笠間書院、2021年)
- 三代史研究会
- 『明治・大正・昭和史 話のたね100』(文藝春秋、2004年)