おすすめの歴史小説 vol.7
はじめに
今回は司馬遼太郎さんの『燃えよ剣』を紹介します。
この作品は土方歳三の生涯を題材とした作品です。
なお、この作品は2021年に岡田准一さん主演で映画化されました。
物語に関係する出来事
『燃えよ剣』に登場する出来事を年表にまとめると以下の通りです。
- 1858年 日米修好通商条約調印
- 1860年 桜田門外の変、安藤信正が公武合体を目指す
- 1862年 和宮(孝明天皇の妹)降嫁、坂下門外の変
- 1863年 新撰組結成、徳川家茂上洛、芹沢鴨暗殺
- 1864年 池田屋事件、蛤御門の変(禁門の変)
- 1867年 伊東甲子太郎暗殺、大政奉還
- 1868年 鳥羽・伏見の戦い、甲州勝沼の戦い、近藤勇斬首
- 1869年 五稜郭の戦い
この物語の見どころは次の3つです。
①新撰組の活躍
漫画やアニメ・ドラマの題材ともなっている新撰組。そんな新撰組が発足し、池田屋事件で一躍脚光を浴びるようになってから、時代の流れが倒幕へと傾き、新撰組が解散するまでの過程がありのままに記されています。
作品を読んでみると、新撰組の功績は土方の尽力によるところが大きいことがわかります。
②仲間の絆
新撰組の支柱となる土方歳三、近藤勇、沖田総司は近藤が塾頭を務める田舎道場の仲間でした。田舎道場から新撰組へ、彼らを取り巻く環境が変わっても、彼らの絆は変わりません。
例えば、土方が七里研之助に狙われ窮地に陥ったときは沖田が助けに来ました。また近藤が伊藤甲子太郎の残党に狙撃された時は土方が近藤から新撰組の舵取りを任されました。さらに沖田が病床に臥せった時は土方が見舞いに行きました。
物語の最初から最後まで、彼らが固い絆で結ばれていたことがわかります。
③土方の最期
土方は時代の流れが倒幕に変わり、新撰組が解散した後も旧幕府側に味方し、五稜郭の戦いで散っていきました。
最後の数ページは最期まで幕府に忠誠を尽くした一人の男の姿がありありと記されています。
おわりに
本当の意味でのラストサムライは土方なのかもしれません。
以前紹介した『竜馬がゆく』と時期が重なる(実際に『竜馬がゆく』の中で土方や沖田が登場しています)ので、両者を比べて読んでみるのもおすすめです。