蛇と日本史

はじめに

今年は巳年です。
蛇は金運UPに繋がる、ということで金運にまつわる神社へお参りに行った人もいるかもしれません。

そこで今回は蛇にまつわるエピソードを紹介します。

①上杉謙信と蛇

上杉謙信が諏訪大社を訪れた時のこと、大蛇を目撃します。
これに対し巫女は「これは神の姿であり、願いが叶うだろう」と言います。
しかし、上杉謙信は「神に形はない。のちに害を及ぼすことになる」と言って大蛇を殺してしまいました。

すると、夜になって謙信は熱を出し、診たところ身体中に蛇が生じています。
そこで上杉謙信は近臣に命じてろうそくを持ってこさせ、蛇を取り除かせさせたところ、まもなく全快しました。

上杉謙信の冷静沈着な様子が伝わります(自分などは蛇が生じていたらうわぁってなりそうです…)。

②織田信長と蛇

織田信長が幼い頃、蛇を捕まえたことがあった。家臣に対し「このようなこと(蛇を捕まえたこと)は勇というのか」と尋ねたところ、家臣は「小蛇などは恐るるに足りぬもの」と答えました。

すると織田信長は、「蛇の毒は形の大小ではない。蛇が小さいから恐れぬというのであれば、そちたちは(幼少であれば)主君を侮るのか」と叱責しました。
家臣たちはただ赤面するばかりでした。

下剋上の世の中だからこそ、信長の言葉は本質をついていますね。

③太宰治と蛇

ある日のこと、太宰治の自宅の郵便受けに蛇が入れられていました。
そのことに対し、太宰治は「憤怒」と日記に記しています。

さらに続けて「日に二十度、我が家の郵便受箱を覗き込む売れない作家を嘲笑っている人のなせる仕業に違いない」とまで断言しました。

静かに、けれども激しく怒りの炎を燃やしていることがわかりますね。

おわりに

蛇との向き合い方も人さまざま。

参考文献・参考サイト

岡谷繁実著 北小路健 中澤恵子編
『名将言行録 現代語訳』(講談社、2013年)
進士素丸
『文豪どうかしてる逸話集』(KADOKAWA、2019年)