ロングセラーと日本史

はじめに

秋と言えば、スポーツの秋、食欲の秋と並んで読書の秋が挙げられますね。
最近は電子書籍化や活字離れが進んでいると言われていますが、それでも読み続けられている本は確かにあると考えます。

そこで、今回は長く読み続けられている本を紹介します。

長く読み続けられている本TOP3

ちなみに、日本で長く読み続けられている本TOP3は『ノルウェイの森』『こころ』『窓際のトットちゃん』だそうです。

けれども、日本史の中でも長く読み続けられてきた作品がありました。3つ紹介します。

①『源氏物語』

主人公光源氏と彼と関わりのある女性との恋愛模様を描いた作品です。なお、「宇治十帖」と称される最後の10帖は薫と匂宮(ともに光源氏の子)が主人公です。

そんな平安時代に生まれたこの作品は後の世にも読み継がれ、上杉謙信や織田信長も『源氏物語』の愛読者であったと言われているそうです。

②『太平記』

南北朝時代の動乱を題材とした作品です。物語に登場する楠木正成が「天皇に忠誠を尽くした英雄」のように扱われていました。

そのため、江戸時代になると徳川光圀(水戸藩藩主。「水戸黄門」でお馴染み)や吉田松陰などが楠木正成を崇拝するようになりました。

③『西洋事情』

福澤諭吉が海外で見聞きしたことをまとめた作品です。
この中には、アメリカ、オランダ、イギリス、ロシア、フランスの歴史や政治、軍事、財政および西洋一般の制度や風俗についてまとめられています。

西洋の「文明」について記したこの本は当時の多くの人々(計算すれば60人に1人の割合)に読まれたとともに、明治維新や自由民権運動にも大きな影響を与えました。

おわりに

長く読み続けられてきた本は、それだけ多くの人に愛されてきたということですね。

参考文献・参考サイト

本郷和人
『東大教授が教える やばい日本史』(ダイヤモンド社、2018年)
池田勇太
『日本史リブレット076 福澤諭吉と大隈重信 洋学書生の幕末維新』(山川出版社、2012年)