おすすめの歴史小説 vol.24
はじめに
今回は森村誠一さんの『虹の生涯』を紹介します。
この物語は元御庭番で隠居していた和多田主膳が幕府から密命を受け、仲間とともに幕末の動乱に身を投じていく物語です。
物語に関連する出来事
- 1860年 桜田門外の変
- 1861年 和宮降嫁
- 1863年 八月十八日の政変、芹沢鴨暗殺
- 1864年 池田屋騒動、蛤御門の変、第一次長州征討
- 1866年 薩長同盟締結
- 1867年 大政奉還、伊東甲子太郎暗殺
- 1868年 鳥羽・伏見の戦い、江戸城無血開城、会津戦争
- 1869年 五稜郭の戦い
この物語の見どころは次の3つです。
①燻っていた思い
和多田主膳らは御庭番としての務めを果たすことなく隠居し、枯れたような生活を送っていました。
しかし、彼らは武士としての誇りを(最初は忘れたと言っていながらも)持っており、先祖のため、幕府のために働きたいという思いを抱えていました。
そんな彼らの願いに応えるかのように、時代は彼らを求めていきます。
②影の功労者
和多田主膳ら4人は当初、幕府からの直命として和宮や将軍家茂の陰供の任務につきます。
ところがその後は会津藩の下知につき、さらには新撰組の別働隊のような扱いを受けることになります。
本来直参旗本(幕府直属の家臣)である彼らはそのような扱いにたびたび不満を漏らすものの、歴史的な大事件に関わることになります。
③死から生へ
和多田主膳たちは当初、死場所を求めて与えられた任務をこなしていきます。
しかし、彼らと会津藩の身代わりとなった甚左衛門から「この先の時代を見届けてくれ」と言われたのを機に彼らの心境が変化していきます。
彼らは死出の花道を求めながらも、一方で「生きる」ことも考えるようになります(彼ら自身激動の時代を面白がるような様子も見られるようになります)。
彼らは京都、江戸、会津、五稜郭と場所を変えつつ、激動の時代を見届けていくことになるのです。
おわりに
歴史に名を残すことなく、激動の時代を生き、そして消えていった老年のヒーローたちの物語です。