桜の日本史
はじめに
桜の開花予報が出てくるようになりましたね。桜が咲くといよいよ春になったという実感が伴います。
そこで、今回は桜がテーマです。
桜にまつわるあれこれ
実は奈良時代まで人々(特に貴族たち)は桜よりも梅の方を愛でていました。
しかし、平安時代、仁明天皇の時代ごろから桜を愛でる風潮が定着し今日に至ります。
ここでは、桜にまつわるエピソードを3つ紹介します。
藤原道隆と桜
『枕草子』には、藤原道隆は中宮定子や清少納言らが訪問することを知り、造花の桜を植えて出迎えたというエピソードが記されています。いかにも権勢を誇る道隆らしいですね。
ちなみに、造花の桜は雨にぬれてボロボロになってしまったため、次の日の早朝のうちに処分したようです(もっとも清少納言はその様子を見ていたようですが…)。
豊臣秀吉と桜
秀吉といえば晩年に実施した「醍醐の花見」が有名です。
しかし、これ以外にも秀吉は吉野で観桜会を実施しています。この時、秀吉は同席した武将たちに歌を読ませました。
この時、他の武将たちは単に目の前の桜の美しさを讃える歌を詠んだのに対し、伊達政宗は植えた人にも思いを馳せた歌を詠みました。
その結果、秀吉は伊達政宗の歌がもっとも優れていると褒め称えました。
桜を植えた人々
江戸時代、徳川吉宗はふるさとの紀伊を思い出せるよう、飛鳥山を作ります。
そしてそこに、桜の木を植えました。
また、大正時代、尾崎行雄は東京市長だった1912年にアメリカに桜の木を贈りました。この桜はワシントンのポトマック河畔に植えられました。
飛鳥山も、ポトマック河畔も春になると桜が咲き誇り、人々を楽しませています。
おわりに
桜からも歴史が垣間見えますね。
参考文献・参考サイト
- 田中章義
- 『日本史を動かした歌』(毎日新聞出版、2019年)