梅と日本史
はじめに
2月になると、梅が開花してきますね。今回は梅がテーマです。
梅にまつわるあれこれ
昔の中国では、文人たちは松竹梅を好んでいました。
また、昔の日本では「花見」と言えば「梅を見ること」を指していました(花見が桜を指すようになるのは室町時代とも言われています)。
そんな梅にまつわるエピソードを3つ紹介します。
①梅を見る会
奈良時代、大宰府(九州に設置された役所)の役人たちは梅見の宴を開きました。その会には山上憶良なども参加しており、参加者は即興で梅にまつわる歌を詠みました。
ここだけ見ると風流ですが、実はこの日は極寒で、雪も降り出していたそうです。役人は今も昔も大変ですね。
②飛梅伝説
「学問の神様」で知られる菅原道真はわずか35歳で文章博士になったエリートでした。道真は宇多天皇(当時の天皇)によって政治にも登用されます。
ところが、彼は謀略によって大宰権帥(大宰府のNo2の役職ですが、実質は窓際部署です)に左遷されてしまいます。
九州に向かう前、道真は家の梅の前で「東風吹かば匂いおこせよ梅の花 あるじなしとて春をな忘れそ」と和歌を詠みました。
その後、その梅は道真のいる大宰府へ飛んで行ったのだとか。
③「梅」の名をもつ幕末の志士
例えば坂本龍馬は「才谷梅太郎」という偽名を使っていました(ちなみに、「才谷」というのは龍馬の生家です)。
また、高杉晋作は梅を好んでおり、「谷梅之助」という偽名を使っていたほか、自分の子の幼名にも「梅」の文字を使っていたと言われています。
さらに、西郷隆盛も「梅一」と称していたこともあったようです。
おわりに
桜がもてはやされますが、梅もまた人々から愛されてきた花だとわかりますね。
参考文献・参考サイト
- 近世名将言行録刊行会
- 『幕末・明治名将言行録』(原書房、2015年)
- 半藤利一
- 『名言で楽しむ日本史』(平凡社、2010年)