平安時代

はじめに

来年の大河ドラマ「光る君へ」は平安時代がテーマです。
平安時代をテーマとした大河ドラマは「平清盛」以来です。
そこで、今回は平安時代を紹介します。

かつての平安時代

平安時代といえば以下のように教わったかもしれません。

  1. 摂関政治によって従来太政官で行われていた政治は骨抜きになった。
  2. 農民が武装化して武士になった。
  3. 平氏政権は武家政権で、その発端は平清盛の太政大臣就任にある。


しかし、平安時代の言説は変わりつつあります。

①摂関政治と太政官は共存していた

摂関政治が行われていた時期も太政官の政治は引き続き行われていました。さらに、平安時代も政治の最終決定権は天皇にあり、摂政や関白も天皇があってこその地位でした。
つまり、摂関政治によって天皇や既存の政治機能が蔑ろにされたわけではありませんでした。

②武士は最初からプロ集団だった

最近では武士は武装化した農民ではなく、最初から戦闘のプロ集団だったという見解があります。
ちなみに、保元の乱(1156年)・平治の乱(1159年)は武士が活躍した戦いであったことは確かですが、どちらも原因は貴族同士の内輪揉めでした(保元の乱は天皇や藤原氏の内紛、平治の乱は後白河上皇の側近の対立が発端です)。あくまでも武士は利用されただけに過ぎませんでした。

③平氏政権の正体

確かに、平氏政権は地方の武士を組織するなど武家政権としての性格はありました(このことは鎌倉幕府にも通じるところです)。しかし一方で、全国に荘園を保有し、外戚政策を行うなど貴族的な政権としての性格もありました。 
さらに、太政大臣は名誉職であるため、平清盛の太政大臣就任を平氏政権の権力掌握と考えることもできません。清盛の太政大臣就任(ついでに言えば子の重盛の右大将就任)は平氏が貴族社会の昇進コースにのったという点でのみ大きな意味を持ちました。

おわりに

「藤原氏と武士の登場」という平安時代のイメージはちょっとずつ変わっているようですね。

参考文献・参考サイト

歴史ミステリー研究会
『昔の教科書とはこれだけ変わった 日本史の新常識』(彩図社、2020年)
高橋秀樹 三谷芳幸 村瀬信一
『ここまで変わった日本史教科書』(吉川弘文館、2016年)