おすすめの歴史小説 vol.17

はじめに

今回は門井慶喜さんの『文豪、社長になる』を紹介します。
この物語は菊池寛の生涯と彼が作った文藝春秋の軌道を描いた作品です。
なお、『文藝春秋』は今年100周年を迎えました

年表一覧

『文豪、社長になる』に関連する出来事を年表は以下の通りです。

  • 1888年 菊池寛誕生
  • 1920年 新聞連載『真珠夫人』が大ベストセラーに
  • 1923年 雑誌『文藝春秋』創刊
  • 1926年 『文藝春秋』が総合雑誌に
  • 1927年 芥川龍之介死去
  • 1934年 直木三十五死去
  • 1935年 直木賞、芥川賞創設
  • 1946年 文藝春秋新社発足(菊池が創設した文藝春秋社は解散)
  • 1947年 菊池寛、公職追放を受ける
  • 1948年 菊池寛死去

この物語の見どころは次の3つです。

①雑誌『文藝春秋』の軌跡

この物語の中心に描かれているのが『文藝春秋』の軌跡です。
もとは若手作家のために作られた『文藝春秋』。やがて規模を拡大して総合雑誌となり、社員の横領事件や戦争、文藝春秋社の解散を経て、現在へと繋がっていきます。
 

②菊池寛が生み出したもの

若手作家の活躍の場として創刊した『文藝春秋』、その中で始めた座談会方式…。
また、早世した芥川龍之介や直木三十五のために作った芥川賞、直木賞…。
菊池寛が作ったものは現在も続いています。

③人との縁

菊池寛が出会った人々は小説家として、文藝春秋社社長としての菊池寛に大きな影響を与えました。 例えば中央公論社の時代の上司、千葉亀雄の言葉をもとに『無名作家の日記』が生まれ、芥川龍之介の口添えで人気作家への道が開かれました。また、直木三十五の企画は顰蹙もあったものの、『文藝春秋』の人気を高めました。
人との縁が結集して『文藝春秋』は100年間も続いてきました。

おわりに

現在も続く『文藝春秋』の歴史がわかる一冊です。

参考文献・参考サイト

日本史奇譚
偉人の名言vol.2
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