双六の日本史

はじめに

先日、読売新聞の「日本史アップデート」で盤上競技が取り上げられていました。今回は盤上競技の一つ、双六を取り上げます。

双六の歴史

双六は、古代エジプトやローマでも楽しまれていたと言われ、中国を通じて日本にも入ってきました。

当初は盤双六が楽しまれていました。まず、盤双六は貴族階級に広まります(『枕草子』や『源氏物語』にも載っています)。やがて、武士も盤双六に熱中しました(「鎌倉殿の13人」でも、上総介広常と梶原景時が盤双六を行なっているシーンがありましたね)。

ところが、盤双六は江戸時代までに廃れてしまいます。かわりに登場したのが絵双六です。絵双六は当時の世相を反映させつつ、多様なジャンルのものが作られて行きました。そしてついには「人生ゲーム」のようなルーレット型の双六まで登場しました。

高橋順二氏は『日本絵双六集成』の中で絵双六を15種類に分類しています。ここでは5グループに分けて紹介します。

①教訓もの

  • 仏法双六・教訓双六(極楽や地獄が題材)
  • 開化教育双六(明治期の学校教育が題材)
  • 出世双六(出世が題材。大奥の出世双六もある)
  • 女双六(女性の理想像が題材)

②旅もの

  • 道中旅行双六(他国の風土・文物が題材。特に東海道を題材としたものが人気)
  • 名所双六(全国各地の名所が題材)
  • 探検旅行双六(国際的規模の旅行・冒険が題材)

③歴史もの

  • 歴史双六(源平合戦・秀吉・幕末など過去の歴史が題材)
  • 戦争双六(戊辰戦争や西南戦争、日清・日露戦争などが題材)

④娯楽もの

  • 芝居双六(歌舞伎・芝居が題材)
  • 漫画双六(ウケを狙った題材)
  • 遊戯双六(相撲・遊郭といった娯楽が題材)
  • 文芸双六(古典・小説や詩が題材)

⑤その他

  • 宣伝双六(デパートなど宣伝する)
  • 子供双六(子供の遊びが題材)
  • 雑双六(上記以外のものが題材。妖怪を題材とした双六などもある)

おわりに

双六は世の中を反映する鏡みたいなものですね。

参考文献・参考サイト

高橋順二
『日本絵双六集成』(柏美術出版株式会社、1994年)
呉座勇一
『日本中世の招待』(朝日新聞出版、2020年)
歴史探偵
「妖怪大国ニッポン」(2022年6月8日放送)
さぬきファミリーゲーム倶楽部
「盤双六に見る発展と衰退について」(https://sanuki-familygame-club.com/)(参照:2023-6-23)
鎌倉市ホームページ
「中世の『すごろく』の遊び方」(https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/)(参照:2023-6-23)