おすすめの歴史小説 vol.12

はじめに

今回は池波正太郎さんの『西郷隆盛』を紹介します。
この作品は西郷隆盛の生涯を題材とした作品です。

物語に関係する出来事

『西郷隆盛』に登場する出来事を年表にまとめると以下の通りです。
なお、西郷隆盛の名前は何度も変わっていますが、ここでは明治維新前を吉之助、明治維新後を隆盛としています。

  • 1828年 西郷吉之助(隆盛)誕生
  • 1851年 島津斉彬が薩摩藩主に。吉之助、斉彬に仕える。
  • 1854年 吉之助、江戸に赴く
  • 1858年 吉之助、将軍後継問題で奔走。島津斉彬死去。
    安政の大獄。奄美大島に流謫(るたく)。
  • 1862年 吉之助帰藩。国父島津久光にそむき、流罪(徳之島→沖永良部島)。
    寺田屋騒動発生。島津久光、文久の改革実施(帰国の際、生麦事件を起こす)
  • 1863年 薩英戦争で薩摩藩敗北
  • 1864年 吉之助赦免。蛤御門の変(禁門の変)。
  • 1866年 薩長同盟締結
  • 1867年 大政奉還。王政復古の大号令
  • 1868年 鳥羽・伏見の戦い。江戸城総攻撃中止。
    のちに鹿児島に凱旋。
  • 1871年 隆盛上京。廃藩置県実施される。
  • 1873年 征韓論政変により明治政府を下野
  • 1874年 佐賀の乱勃発。江藤新平から協力を求められるが拒否する。
  • 1877年 西南戦争。隆盛自刃。

この物語の見どころは次の3つです。

①西郷の人柄

物語の中では何度か西郷の容姿にまつわる描写があります。
また、文中では西郷が自分の信念を貫く描写がいくつも記されています(特に印象深いのは、明治に入り、倒幕に携わった者が豪華な生活をする中で、西郷だけは幕末に亡くなった者を思い質素な生活を続けた点です)。

これらの要素が西郷のカリスマ性を生み出しているのかもしれません。

②西南戦争

物語のメインとなるのが西南戦争です。西郷は西南戦争によって不平士族、明治政府双方の望みを叶えたと言えます。

西郷は自らが立ち上がることで、彼のために行動を起こした者たち(私学校の生徒や桐野利秋)の思いに応えました。そして西郷は自らの命をもって不平士族による反乱を終わらせました。

また、新政府軍に薩摩軍を倒させることで、明治政府が新たな段階への一歩を踏み出させました(西郷は新政府軍やこの戦争に対してどう考えていたのか物語の中で記されています)。

そういう意味ではどこまでも日本と民のことを考えていたのかもしれません。

③筆者の金言

物語では、随所に筆者の見解が垣間見えます。特に最後は明治維新の頃と比較した現代の社会、人間に対する筆者の厳しい意見が並びます。

『西郷隆盛』のオリジナルが執筆されたのが1979年のことなので、なおさら現在の我々はどうなのだろうかと考えさせられます。

おわりに

西郷隆盛がどのように生きたのか、なぜ今日に至るまで人々を惹きつけるのかがわかる一冊です。