『SLAM DUNK』と名言

はじめに

「THE FIRST SLAM DUNK」が絶賛公開中ですね。この作品は『SLAM DUNK』の山王工業戦と宮城リョータに焦点を当てた物語です。

『SLAM DUNK』について

原作の『SLAM DUNK』は井上雄彦氏によるバスケ漫画です。1990年から96年にかけ連載され、過去にはアニメ化もされました。

この物語は主人公の桜木花道が赤木晴子との出会いを機にバスケを始め、流川楓や赤木剛憲、宮城リョータや三井寿といったバスケ部の面々との関わりや翔陽、海南大附属、陵南、山王工業などとの試合を通じてバスケ選手として成長する話です。

この物語では「諦めたらそこで試合終了ですよ」「バスケが…したいです」など多数の名言が生まれました。

そこで今回は、映画にちなみ、山王工業戦で登場した名言と、彼らのセリフに似た偉人の名言も紹介します。

※注意 以下、原作及び映画のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。

①桜木花道の名言 その1(『SLAM DUNK』28巻より)

「おめーらバスケかぶれの常識はオレには通用しねえ!!シロートだからよ!!

これは山王のゾーンプレス(バスケの守備戦術の一つです)によって点差が開き、メンバーが意気消沈しているときに放ったセリフです。
そんな花道のセリフに似た言葉が、坂本龍馬のこの名言です。

「世の人は 我を何とも言わばいえ 我なすことは 我のみぞ知る*1
 *1  『歴史人』2022年3月号(ABCアーク、2022年)

この「常識」や「固定観念」にとらわれない方が思い切った行動ができるのかもしれません。
この後、花道の活躍によってチームは覇気を取り戻していきます。

②魚住純の名言(『SLAM DUNK』28巻より )

「華麗な技をもつ河田は鯛…。お前に華麗なんて言葉が似合うか赤木。
お前は鰈だ。泥にまみれろよ。」

これは赤木が河田との実力差に打ちのめされている時、コートに乱入した魚住が大根のかつらむきを披露するとともに赤木に放ったセリフです。
そんな魚住のセリフに近いのが大久保利通のこの名言です。

「彼は彼 我は我でいこうよ*2
 *2 『歴史人』2022年3月号(ABCアーク、2022年)

相手と同じ土俵で戦うのではなく、自分の武器(良さ、長所)で戦うことの重要性が伝わってきますね。
ちなみに赤木は魚住の言葉によってチームのメンバーのために体を張ることこそが自分の役目だと気づき、復活していきます。

③桜木花道の名言 その2(『SLAM DUNK』31巻より)

「オヤジの栄光時代はいつだよ…。全日本の時か…?オレは…オレは今なんだよ!」

これは花道が負傷しベンチに下がった時、交代を制止する安西先生に放ったセリフです。
花道の言葉の趣旨に近いのが新渡戸稲造のこの名言です。

「十分に力を出した者だけが己に十二分の力があることを知り、十二分の力を出した者だけが己に十五分の力があることを知る*3
 *3 『歴史人』2022年3月号(ABCアーク、2022年)

「今この瞬間に」自分の持つ全てを出そうとする気迫が伝わってきますね。
なお、花道はこのセリフの後にコートに戻ります。そこから試合終了までの展開は目が離せません。

おわりに

『SLAM DUNK』の名言の本質は古今東西に通じるものがあるかもしれませんね。

参考文献・参考サイト

『歴史人』2022年3月号
(ABCアーク、2022年)