天下人のセリフ
はじめに
ここ最近、戦国時代にスポットライトが当たっています(現在「新信長公記」というドラマが放送されています。また、来年度の大河ドラマの主人公は徳川家康です)。
戦国時代を語る上で欠かせないのが三人の天下人、すなわち織田信長、豊臣秀吉、徳川家康です。ということで今回は三人の天下人がテーマです。
ホトトギスの句
信長、秀吉、家康を表す有名なものとしてホトトギスの句があります。
信長の人柄は「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」、秀吉の人柄は「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」、家康の人柄は「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」という句で表現されています。
しかし、この句以外にも三人の天下人の人柄を表す言葉があると考えられます。
そこで、信長、秀吉、家康が発したセリフを国、人、最期の3つに着目して比較します。
信長・秀吉・家康の名言比べその1
まずは国に関する発言を比較します。信長は意外な言葉を残しています。
国の支配において、いたずらに武力を頼ってはならぬ
それに対し、秀吉は、賤ヶ岳の戦いの後、野心的な言葉を残しています。
日本の治、この時にあり
一方で、家康は国に対して、長期的な展望を持った言葉を残しています。
国を治めるには次の三つが重要である。一つには国を理解し、二つには人を理解し、三つには食を理解すること
信長・秀吉・家康の名言比べその2
次に、人に関する発言を比較します。信長は自らの考えを表す言葉を残しています。
恃(たの)むところにある者は、恃むもののために滅びる
それに対し、秀吉は「人たらし」というイメージからは想像できないような言葉を残しています。
人と物争うべからず。人に心許すべからず
一方で、家康は今日に通じる言葉を残しています。
人間というものは、それぞれすぐれたところがあり、全ての長所が一人に備わっていることを求めてはいけない
信長・秀吉・家康の名言比べその3
最後に、最期のセリフを比較します。信長が本能寺の変の際に残した言葉は有名です。
是非に及ばず
それに対し、秀吉は幼い息子を案じた言葉を残しています。
返々(かえすがえす)秀より事、たのみ申し候。五人の衆(徳川家康、毛利輝元、前田利家、上杉景勝、宇喜多秀家のこと)、たのみ申し候
一方で家康は、実にあっさりとした辞世の句を残しました。
先にゆき跡に残るも同じことつれて行けぬを別とぞ思ふ
おわりに
言葉はその人の人柄や考えを表すと言われています。それは天下人でも同じですね。
参考文献・参考サイト
- 真山知幸
- 『偉人名言迷言事典』(笠間書院、2021年)
- 岡谷繁実著 北小路健・中澤恵子編
- 『名将言行録 現代語訳』(講談社、2013年)
- 田中章義
- 『日本史を動かした歌』(毎日新聞出版、2019年)
- 『歴史人』2022年3月号
- (ABCアーク、2022年)