偉人の顔

はじめに

「あの内容」シリーズでは鎖国や徳川綱吉といった日本史で通説と言われてきたことに関する最近の動向を紹介してきました。学校の歴史の内容も変化しています。
しかし、変化しているのは絵も同じです。今回は歴史上の人物の肖像画を紹介します。

歴史の教科書を見てみると、さまざまな肖像画が登場します。
今回は最近の研究で別人説が出ている肖像画を3つ紹介します。

①源頼朝

このサイトでは教科書では載らない頼朝のエピソード頼朝のあだ名などを紹介しました。 
そんな頼朝の肖像画といえば、束帯姿で凛々しい顔をしたものが有名です。頼朝の肖像画はかつて神護寺に所蔵されていましたが、現在は京都国立博物館に所蔵されています
ところが、近年では肖像画のモデルは源頼朝ではなく、足利直義(足利尊氏の弟。尊氏とともに武士政権を目指すものの、のちに尊氏と対立し、毒殺された)とする説が出ています。
そのため、最近の教科書は甲斐善光寺にある木像を頼朝の姿をかたどった最古の木造として紹介しています。

②足利尊氏

足利尊氏の肖像画といえば、騎馬に乗っている姿がお馴染みでした。こちらも現在は京都国立博物館に所蔵されています
けれども、近年では尊氏ではなく高師直(頼朝の執事。ばさら大名として有名)や高師詮(師直の子)を描いたとする説が出ています。
そこで、最近では「南北朝時代の騎馬武者の像」という極めて抽象的なタイトルで呼ばれるようになっています。

③武田信玄

武田信玄の肖像画といえば、立派な髭と恰幅の良い姿の肖像画が有名でした。
しかし、この武田信玄像も別人説が出ています。出家時の年齢よりも年上に見えること、家紋が違うこと、絵の作者(左下の落款から長谷川等伯と考えられています)と武田信玄に接点がない、といったことが指摘されているからです。
したがって、最近では高野山持明院に所蔵されている肖像画が武田信玄像として紹介されています。

おわりに

他にも、聖徳太子や西郷隆盛の肖像画も本人の姿を描いていないと言われています。
通説が変わるのは絵も同じですね。

参考文献・参考サイト

歴史ミステリー研究会
『昔の教科書とはこれだけ変わった! 日本史の新常識』(彩図社、2020年)
日本史の謎検証委員会
『最新研究でここまで分かった日本史通説のウソ』(彩図社、2021年)
山本博文
『こんなに変わった! 日本史教科書』(宝島社、2017年)
山本博文ほか
『こんなに変わった歴史教科書』(新潮文庫、2011年)