つぶやきの日本史
はじめに
現在はTwitterやFacebook、Instagramによって自分が思っていること、食べたものや訪れた場所を気軽に、簡単に発信できるようになりました。
人々がつぶやく理由
なぜ人はつぶやくのか。その理由は大きく3つに分けられます。
- 自分の置かれた状況(していること、やり終えたこと)を記録するため
- 自分の利用した商品(漫画、ゲーム、映画など)の感想を知ってもらうため
- 自分の感情に共感してもらうため
では、人々はSNSもない時代に自分のことをどのように発信したのでしょうか。
人々のつぶやき方には以下のようなものがありました。
①歌(和歌・狂歌・川柳)
平安時代、貴族たちは自然の美しさや個人の感情(喜怒哀楽や恋愛感情)を31字で表現していました。
藤原道長の「望月の歌(この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば、という和歌)」も自分の思いを表現しています。
のちに江戸時代になると、狂歌や川柳が登場し、一般の人々も自分の感情(当時の社会に対する不満など)をつぶやくようになりました。
②日記
平安時代、貴族たちは宮中での事を子孫に伝えるため、日々の出来事や儀式の手順などを日記につけていました。また、女性も日記をつけていました。
ただし、日記は滅多に人に読まれないため、貴族たちは不満や悪口を日記の中にぶちまけていました。
実際に、藤原道綱母が書いた『蜻蛉日記』は夫である藤原兼家に対する感情を赤裸々に綴った日記として有名です。
③落書
代表例が二条河原の落書です。これは当時の社会(後醍醐天皇が行った建武の新政)に対する不満を綴ったものです。バレたら処罰されるリスクを負いつつも、大胆な方法で自分の思っていることを表現する人もいました。
おわりに
こうしてみると、形は違えど自分の思いを形にしていました。
昔の人もつぶやいていた、と思うとなんだか親しみが持てそうです。
参考文献・参考サイト
- 北村智 佐々木裕一 河井大介
- 『ツイッターの心理学 -情報環境と利用者行動-』(誠信書房、2016年)