おすすめの歴史小説 vol.2

はじめに

今回は井上靖さんの『天平の甍』を紹介します。
この物語は唐の鑑真という高僧が何回もの渡航失敗を経て日本に来日する話です。
鑑真が日本に来るまでの過程を、留学僧の普照の視点で描いています。

物語に関係する出来事

物語の時代背景は以下の年表の通りです。

  • 724年      聖武天皇即位
  • 720年代〜740年 権力争い、自然災害、反乱が起こる
  • 741年      聖武天皇、国分寺建立の詔を出す
  • 743年      聖武天皇、大仏建立の詔を出す
  • 752年      東大寺で大仏が完成
  • 754年      鑑真来日

普照が唐にいた期間、国内では聖武天皇が仏教に力を入れていました。

この物語の見どころは大きく3つあります。

①5人の留学僧

物語には主人公の普照の他に、栄叡、戒融、玄朗、業行という四人の留学僧が登場します。最終的に5人の留学僧はそれぞれ異なる結末を迎えます。
長い唐での生活を彼らはどのように過ごしてきたのかが見どころです。

②命懸けの渡航

物語では、日本から唐へ、あるいは唐から日本へ向かう過酷な様子が記されています。行方知れずになったり、目的地から離れたところに漂着したりすることもしばしばあります。
飛行機もない時代に海外渡航することがいかに大変だったかがよくわかります。

鑑真の信念

鑑真は日本へ渡航しようとして何度も失敗し、その途中で失明してしまいます。
しかし、鑑真は日本への渡航を諦めることはありませんでした。なぜなら彼には「日本に戒律を授ける」という信念があったからです。
物語を読み進めていくうちに、鑑真の揺るぎない信念を目の当たりにします。

おわりに

歴史の教科書などでは遣唐使について極めてあっさりと記されているだけです。
しかし、『天平の甍』は数多くの遣唐使の「命がけ」の渡航が歴史に大きな影響を与えたことを実感させてくれます。是非一読をお勧めします。