飲みニケーションと日本史

はじめに

新年度が始まってから1ヶ月が経とうとしています。この時期は歓迎会シーズンとして有名ですね。その後、忘年会、新年会、送別会と続いていきます。
こうして見ると、1年はお酒の付き合いで成り立っていると言えます。
今回は「お酒のつきあい」がテーマです。 ※なお飲酒は20歳になってから。

飲みニケーションとは

「飲みニケーション」という言葉は、「飲み会」と「コミュニケーション」の造語です。居酒屋や宴会などお酒の場を通じて胸襟を開いて語り合い、コミュニケーションを円滑にする目的がありました。

飲みニケーションという言葉自体は最近できた言葉です。しかしお酒のつきあいは昔から存在していました。

平安貴族の飲みニケーション

例えば、平安時代に貴族達は和歌をともなうお酒の付き合いをしていました。
曲水宴(小川の前に貴族達がたち、上流から流れてくるお酒入りの盃が流れてくる前に和歌を詠む遊び。和歌を詠めたら盃の酒を飲む)という年中行事があったほどです。
また藤原道長が「この世をば…」で有名な望月の歌を詠んだのも宴会の時でした。

武士たちの飲みニケーション

さらに、室町時代には武士達が毎晩お酒の付き合いをしていたと考えられます。
事実、闘茶(茶の産地を当てる賭け事)や連歌(和歌の上の句と下の句を詠み合う遊び)が行われた時には宴会も開催されていました。
ちなみに「忘年会」や「二日酔い」という言葉は室町時代に生まれたと言われています(諸説あります)。

現在の飲みニケーション

そして、現在になるとzoomなどオンラインツールを使った飲みニケーションが登場します。
人々はもはや対面せずデスクトップ越しでお酒の付き合いをすることができるようになりました。

おわりに

コロナ禍や若者の酒離れによって飲みニケーションは時代遅れと考えられつつあります。しかし、今も昔もお酒の付き合いがあったことは事実です。
飲みニケーションにもそれなりに意味があると考えられます。

参考文献・参考サイト

呉座勇一
『日本中世への招待』(朝日新聞出版、2020年)