「尼将軍」北条政子
はじめに
今回は「鎌倉殿の13人」で存在感のある北条政子のエピソードを紹介します。
北条政子について
北条政子は源頼朝の妻です。頼朝や子供達が亡くなったのちは「尼将軍」として陰で鎌倉幕府を支えました。
そして承久の乱の際には御家人に対し「頼朝の御恩は山より高く海よりも深い」と演説を行うことで御家人の結束を促し、勝利をもたらしました。
そんな北条政子の人柄がわかるエピソードを3つ紹介します。
①政子の夢買いの話
北条政子には妹がいました。ある時、妹が政子に「太陽と月を左右の袂に入れ、橘の実が3つなった枝を髪に挿す」夢を見た、と言いました。
それに対し政子は「それは悪い夢だ」と言って夢を妹から買い取りました。
しかし、実はこの夢は吉夢でした。太陽と月は天下を、3つの橘の実は豊かさを示していました。
事実、のちに政子の夫の頼朝は平家を倒し、鎌倉幕府を開いたのでした。
②政子の一途な恋の話
政子の父の北条時政は政子と源頼朝の関係を危惧していました。
なぜなら、この時頼朝は罪人だったからです。頼朝との関係が深くなると平家に目をつけられる可能性がありました。
そこで、時政は政子を目代(国司の代理)の山木兼隆に嫁がせようとします。
しかし、政子は山木の館から逃げ出し、頼朝のところへと戻ってきました。
そのため、時政は最終的に頼朝と政子の関係を認めました。
③政子の怖い話
先ほど政子と頼朝の恋愛話を紹介しました。しかし、頼朝は他にも女性がいました。例えば、政子の懐妊中に頼朝と深い仲になった亀の前や頼朝の御所に仕えた大進局です。彼女たちは、嫉妬した政子によって散々な目に遭いました。
詳しくは教科書に載らない「源頼朝」で紹介しました。あわせて参照ください。
ちなみに、今週の大河ドラマは亀の前事件を扱うようです。どのような展開になるかが楽しみです。
おわりに
こうしてみると、「政子は強し」と言えますね。
参考文献・参考サイト
- 『岩波古典文学体系 曽我物語 新装版』
- (岩波書店、1992年)
- 永原慶二監修 貴志正造訳注
- 『全譯 吾妻鏡 第一巻 新版』(新人物往社、2011年)
- 呉座勇一
- 『日本中世の招待』(朝日新聞新書、2020年)
- 本郷和人
- 『東大教授が教える やばい日本史』(ダイヤモンド社、2018年)